災害発生、停電時に安心できる自家発電
災害が頻発する近年、売電目的ではなく、災害停電時の備えとして自家発電と蓄電設備を購入する人が増えています。
太陽電池モジュールの品質は?メンテナンスしやすいの?蓄電設備も併せるとかなり高いんでしょ?とかつて導入を見送った人の、かつての不安にお答えします。
自家発電と蓄電の安心感
災害に備えて、自家発電を考えてるんだ。
うちは敷地内にこれでもかってくらい太陽光パネルを敷き詰めているわ。
なんかの基地なみだよね。
売買事業のなごりね。今は災害に備えて、蓄電設備も増やしているのよ。
本当の目的が違ってそうでこわい。
2009年からの太陽光発電の売電ブームの時には、導入をためらった人も多いのではないでしょうか。あれから10年を経過し、固定価格買取制度の期間10年を終了するところも多く出てきます。
以降の売電価格の低下により、蓄電設備を追加設置し、自家消費に転換する家庭も増えてきました。
さらには、地震、台風などの災害発生時に長期間の停電を経験した多くの人たちが、自家発電と蓄電設備を導入しています。
太陽光発電で自家発電
太陽光発電の流れ
●太陽電池モジュール(太陽光パネル、ソーラーパネル)を、太陽光のあたる場所(屋根、地面など)に設置します。
太陽光モジュールに太陽光があたると、光エネルギーを吸収して直流という種類の電気に変換されます。
●パワーコンディショナー(パワコン)というもので、発電した直流の電気を交流の電気に変換します。
家庭で使われる電気は交流という種類であるため、発電した電気を使える電気に変える必要があるのです。
太陽光発電システムではとても重要な部分になります。
●分電盤は、パワーコンディショナーで変換された交流の電気を各部屋(使用するコンセント)へ分ける働きをします。
●蓄電設備(蓄電池)へ、発電した電気をパワコンから送り込んだり、外部から引き込んだ買電した電気を送り込んで蓄電しておきます。
太陽光モジュールの品質は
2020年時点で、市場で家庭用に販売されている太陽光モジュールの9割が、シリコン系(シリコン単結晶系など)という素材でできたものです。
シリコン系ですと、受け取った太陽からのエネルギーのうち約20%を電気に変えてくれます。
その効率を維持するためにメンテナンスをする必要があります。
メンテナンスなく10年放置すると、発電効率は95%位に落ち、20年後には80~85%に落ちます。
太陽光モジュールについては、モジュール表面の汚れ(鳥のふん、雨や雪などによる汚れ、粉塵など)の定期的な洗浄や、ガラスのひび割れや破損のチェック、接続している配線の劣化チェックが必要です。
パワコンについては、換気フィルターのこまめな清掃が必要です。ゴミやホコリによる目詰まりがトラブルの大きな原因となります。
パワコンは、ヒューズ切れによる発電量の急激な低下や発電不能状態といった故障が起きます。これは太陽光モジュールの故障よりも気づきやすいのですが、高圧電流が流れていますから、交換は業者に依頼しましょう。
太陽光発電の保証期間は、太陽光モジュールで10~25年、パワコンが10年以下のケースが多いので、期間中こまめに自主点検するとよいでしょう。
住宅用の場合は、4年に1回は点検することが推奨されています。業者に点検依頼すると1回1~2万円位になります。
- 家庭用蓄電池で自家消費
固定価格買取制度
発電方法や規模によって買取価格や年数は違いますが、
10kwh 未満の家庭用太陽光発電システムの場合、余剰電力買取期間は10年間、発電した電気を電気会社に買い取ってもらえる制度。
2009年11月1日の開始当時、48円/kwh だった買取価格は、2020年時点で21円/kwh となっています。これから始める人はこの価格で10年売電が続くということです。
今後はさらに買取価格は低下していきます。
電気料金の上昇
震災による原子力発電所の停止、火力発電所の発電コストの上昇、などによる供給者のコスト上昇から電気料金が上がっています。
今後、在宅勤務の増加やウイルス感染予防での自粛生活で、電気使用量がますます増加すると需要増から電気料金が上がっていきます。
需給バランスとして電気料金はますます上がっていくことが濃厚なのです。
家庭用蓄電池
家庭用蓄電池を追加設置すると、売電だけではなく、自宅で消費する電気を蓄えておくことができます。
太陽光のある時間帯は発電した電気を節約しながら使用し、蓄電も行う。太陽光のない時間帯に蓄電した電気を使用し、さらには、電気料金の安い夜間に蓄電も行う。
つまり、電気料金の節約にもなるのです。
家庭用蓄電池についてはこちらをご覧ください。
災害停電時
災害時に長期間の停電にみまわれる可能性があります。
そんな時に、自家発電でほぼ支障なく生活できることは、大きなメリットですよね。蓄電設備もあれば、昼夜共に電気を使用することができるようになります。
オール電化の家庭で自家発電できないと停電時はかなり切ない感じになります。
コストと安心の判断
太陽光発電システムは、2009年頃、発電量1kwh につき100万円位が相場でした。2020年時点で、発電量1kwh につき35~40万円が相場になっています。
家庭用太陽光発電システムの平均的なタイプが4kwh とすると、以前400万円位したものが、160万円位になっているのです。
売電価格が48円/kwh から21円/kwh に下がっている根拠もここにあるのです。設備投資の回収としての制度ですから、設備投資が半額になれば、回収時の単価も半額でいいでしょということです。
国からの補助はすでに終了していますが、地方自治体によっては補助がまだ出ていますから、以前より金銭的なリスクが少なくなっているのも事実です。
神奈川県ではこういった取り組みがあります。
環境農政局 脱炭素戦略本部室家庭グループ
利用して、始めてみてはいかがでしょうか。
最後に
今後は、ますます自然災害が増える勢いです。ゲリラ豪雨や雷雨、強風や竜巻も増えてきました。
まさかが突然起こり得る世の中になっていますから、備えは万全とはいかなくても、そこそこの備えは必要ですよね。